映画「パーフェクトデイズ」と音楽

はじめに
映画、パーフェクトデイズを見た時、私は音楽とは何かを考えさせられました。
物語はとても静かで、大きな事件が起きるわけでもありません。
主人公の平山は、東京でトイレ清掃の仕事をしながら、同じような日々を丁寧に生きています。
朝起きて、仕事に向かい、昼休みに木漏れ日を見上げ、夜は本を読み、音楽を聴いて寝る。
その繰り返しの中に、豊かな時間が流れています。
印象的なこと

この映画で特に印象的なのは、音楽の使われ方です。
劇伴が大きく感情を動かすというより、カセットテープから流れる音楽が、平山の生活の一部として存在しています。
車の中で流れる音楽、仕事へ向かう道で聴く音楽、それらは決して派手ではありませんが、日常の風景と溶け合い、彼の人生を静かに彩っています。
音楽が主役ではなく、生活の中の呼吸のような存在になっている。
この感覚はとても大切だと気づきました。
音楽は大きな舞台や特別な場所にだけあるものでなく、日々の暮らしの中に存在するものだと感じたのです。
ギターを通して見つめてみる
私はギターを弾き、音楽を作ってます。
派手さよりも静かなグルーブ、空気を大切にしたいと考えています。
強く主張する音でなく、ふとした瞬間に心に残る音。
どこか懐かしかったり、、そんな心象風景から成る音。
情景などと一緒に思い出される音楽です。
そう考えると、パーフェクトデイズの世界観は私が目指す音楽の姿にとても近いように感じました。
平山について

平山(役所浩司)は同じ場所を歩き、同じ仕事をしながらも、毎日少しづつ違う景色を見ています。
木漏れ日も、空の色も、同じものは二つとありません。
その小さな違いに気づき、味わうことのできる人生はとても豊かなものだと思います。
音楽もまた同じです、同じ曲を弾いていても、その日の空気や自分の気持ちによって、少しづつ表情が変わります。
そこに音楽の面白さがあります。
映画を見終えて

この映画を観た後、私は特別なことをしなくても音楽はそこにあるのかもしれないと思いました。
静かな場所で、少人数のお客さんの前でギターを弾く、そんな時間の中にこそ確かな音楽が生まれるのではないかと感じたのです。
大きな成功や派手な出来事だけが人生の価値ではありません。
静かな日常にある小さな喜びや発見。
それを大切にすることが、大きな豊かさにつながるのではないでしょうか??
パーフェクトデイズは、そんなことをそっと教えてくれる映画でした。
レッスン場所になっている小さな喫茶店

例えば喫茶ティンカーベルのある神戸の塩屋という土地は、とてもパーフェクトデイズ的な空気を持っています。
理由は、開発が進んでいない、チェーン店が駅前に少ない、昔ながらの商店街がある、海、山が近くにあり、自然を感じる、などです。
そんな塩屋にある小さな喫茶店ティンカーベルは、真空管アンプでジャズレコードを聞かせる希少なお店です。
平山は、カセットテープで持って私たちにアナログの良さを伝えてくれています。
現代はスマートフォンでいくらでも音楽がダウンロードでき、youtubeで動画も見れる時代です。
ただ、平山は、音楽は消費するものでなく共に生きるものとして受け取っている姿勢が現れているように思い、私もそれに共感しました。
アコースティックギターも、また同じように木の温もりを感じるアナログな楽器です。
そして、ここでは真空管アンプでアナログ音響の良さもお伝えできます。
もし希望があれば、レッスン時間に一緒にアナログレコードを聞く。
そんな時間も良いでしょう。
私は、レッスンを単なる技術の上達の場としてだけでなく、このように生徒さんの人生にとって豊かな時間になれたらと思っています。
主人公は決して押し付けがましくない、それは私のレッスンでも同じ

平山という主人公は、木のようにそこに存在することで周りの人間を暖かくします。
そしてさりげなく学びを提供しています。
私は、よくあるギター教室の。
こうあるべき!!とか、こうしてください!!!
という押し付けは一切しません。
生徒さんと一緒に良い時間を過ごす、良い音楽体験を共有する時間を作りたいのだな、と気づいたのです。
それは、ギターレッスンと意気込むものではなく、「ちょっと贅沢な休日のお出かけ」
のような感覚に近いのかもしれません。
一人一人にドラマがある

最後のシーンで、主人公が軽を運転しながら、思いを巡らせるシーンがあります。
姪っ子に出会ったことで起こる変化、未来への希望、過去の振り返り、そして現在、、と。
これは、映画だから特殊なのではない、皆さんにも様々なドラマや背景があるんです。
そして、この小さな喫茶店の小さなギター教室には、そんな様々な背景を持つ生徒さんが訪れます。
求めるものは一人一人違う、いや、むしろ違っていていいのです。
そんな個性や潜在能力をギターレッスンを通して発揮できるお手伝いができれば、こんなに幸せなことはありません。
まだ見ぬあなたにお会いできることを心より楽しみにしています。

