音を聞くことから始まるギターレッスン〜閉じていた音が開く瞬間〜

教室ブログ

はじめに

僕のギターレッスン人生の中でも、とても感慨深い出来事があったので、ぜひ皆様と共有できたら!!という強い思いがあり、レッスン内容を紹介させていただきます。

その方は、体験レッスンを経て2回目のレッスンで何か!!が変わった様子でした。

その経緯をお伝えできたらと思っています。

その生徒さんは以前はクラシックギター教室に通っていたものの、型にはまろうと頑張りすぎたり無理をしてしまい、どこか音楽に対して引け目のようなものを感じていました。

いわば“自分の方向を見失ってしまう”ような状態です。

そこで、話を聞いていくと、純クラシックもいいけどモリコーネなどの映画音楽が好き。

スティービーワンダーなどのソウル系など、幅広い音楽的趣向をお持ちの方でした。

体験レッスンでは、まずギターで6弦のEの音を目一杯伸ばしてもらいました。

そこに私が即興で音を乗せる、さりげなくですが、先ほど好きとおっしゃっていたモリコーネ作曲のニューシネマパラダイスのテーマを弾きました。

すると生徒さんの顔がぱあっと明るくなり。

「楽しい!!!」と一言おっしゃってくれ、とても嬉しかったのを覚えております。

そして、そこからギターを、音楽を、どのように楽しんでもらえるか??を考えて2回目のレッスンに臨みました。

まずは音に浸かる

そして、体験レッスンを経て、2回目のレッスンです。

まず、最初に行ったのは、真空管アンプでレコードを一緒に聴くこと。

えっ!!ギターを弾かないの??

と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、とても必要なことと考えました。

会話はほとんどせず、ただ音の中に身を置く時間です。

曲は、キケシネシとカルロスアギーレのデュオで「danza sin fin」

アルゼンチンの自然や夕暮れ時の情景が浮かぶような素晴らしい曲です。

この時間がとても重要でした。

音楽に対して構えていた心が、少しずつほどけていく。

聴き終わったあと、生徒さんの口から自然と「すごくいいですね」という言葉が出てきました。

さらに話を聞いていくと、昔はジャズやフュージョン、ブラジル音楽が好きで、レコードもたくさん集めていたとのこと。

震災で多くを失ったものの、その記憶はしっかり残っていました。

ここで一気に、音楽の話が“その人の人生”に繋がり始めました。

技術ではなく、感覚へ技術ではなく、感覚へ

ギターを手に取ってからも、今回やったことはとてもシンプルです。

Aadd9のコードを、ゆっくり、丁寧に、5弦から1弦まで順番に鳴らす。

それだけです。

Aadd9のコードというとなんだか難しそう??

そう感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、セーハもなし、押さえるのは2箇所のみで、開放弦を多用したコードなので簡単なのです。

テンポも決めず、正確さも求めず、ただコードの響きを味わう。

すると、生徒さんの表情が一気に変わりました。

音を聴いた瞬間、目がぱっと開き、「新しい扉が開けた!!!!」と一言。

この言葉はとても印象的でした。

“詰め込み型の練習”からの解放

少し話を戻すと、以前の教室では曲にはほとんど触れず、音階練習や基礎練習をひたすら繰り返していたそうです。

そのため、「楽譜を見る=やらされる」「曲を弾く=義務」というイメージが強く残っていました。

今回も一度その流れに触れた瞬間、少し表情が曇ったのですが、そこで生徒さん自身の口から。

「曲をすぐやりたいわけではないんです」
「もっと自由に、遊びたい」

という言葉が出てきました。

これはとても大きな転換点です。

ここで、レッスンの今後の方向性が決まった瞬間でした。

この方向で間違いない!!と。

1つの音で世界が変わる

Aadd9というたった一つのコードを、「丁寧に鳴らす」それだけで。

・音の余韻を感じる
・響きの広がりを味わう
・自分の中の音楽とつながる

こうした体験が一気に起こりました。

そして「これで家で遊べる」と言ってくださったことも、とても大きな収穫です。

練習ではなく、“遊び”として音楽が戻ってきた瞬間でした。

レッスンの本質が見えた瞬間

今回のレッスンを通して見えてきたのは、

「たくさん教えることが必ずしも正解であるとは限らない」と感じたことです。

むしろ。

・1つの音
・1つのコード
・1つの体験

これだけで十分な場合もある。

次回はそこに1音足すかもしれないし、弾き方を変えるかもしれない。

それだけで音楽は広がっていきます。

音楽は“取り戻すもの”

今回の生徒さんは、もともと音楽が好きで、深く関わってきた方です。

ただ、ある指導の中でその楽しさが見えなくなってしまっていただけでした。

だからこそ必要だったのは、新しい知識ではなく。

「思い出すこと」
「感じること」

だったのだと思います。

そして、感じたことは、「通り一辺倒のレッスン」ではなく、一人一人のニーズや背景、趣向に合わせたレッスンを展開することが改めて大切である!!と。

最後に

音楽は、本来とても自由で、個人的なものです。

正しさや効率を追い求めるあまり、その本質から離れてしまうこともあります。

もちろん、世の中には様々な指導法があり、そのような方法がバッチリはまる生徒さんもいらっしゃいます。

それぞれに、しっくりくる指導の形に出会うことが大切ということ。

今回のレッスンで起きたことは。

“音楽を教えた”というよりも“音楽を取り戻した”

そんな時間でした。

これからも、この感覚を大切にしながら、その人に合った形で音楽と向き合っていきたいと思います。

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